インターネット企業のこれまでの歩みを見てます。1995〜1996年はネットスケープ社の全盛時代です。ネットスケープ社が主で、サーチサイトが従でした。ブラウザのデフォルトに設定してあるため、初心者の多くはインターネット利用の入り口として、まずネットスケープ社に行き、それからサーチサイトへ行きました。単なるゲートウェイに過ぎませんが、ポータルとしての地位は他のサイトから羨ましがられていました。
1997年にはサーチをサーチエンジンとディレクトリーに分け、ディレクトリーはYahoo!が担当しNetscape Guide by Yahooを提供しています。1997年のブラウザ戦争でマイクロソフト社から追撃を受け、1998年に経営が危なくなり、今までの状況が激変しました。1998年春のサーチサイトとの契約更新は難航し、結局Yahoo!は更新しませんでした。もうネットスケープ社のトラフィックに頼らなくてよく、またネットスケープ社がコンテンツを集め始め、Yahoo!の競争相手になってきたからです。
インターネットを総合的に利用できるポータルサイトに関してはサーチサイトが先行しています。そして、多くのサイトは1996〜1998年にかけてサーチ以外のニュース、コミュニティ、電子商取引分野への進出を始めており、現在でも続いています。ディレクトリーサイトを持つところが比較的早く進出し、サーチエンジンだけのサイトは1998年頃からディレクトリーや他の分野への進出を始めています。
オンラインサービスのAOLもポータルサイトを目指しています。1995年頃のユーザー数は200万人、それが現在は1200万人です。多数のユーザーに対して個人に密着したサービスをインターネットにのせて提供しています。ポータルの4つの構成要素もバランスよくもっており、Yahoo!と十分対抗できる力をもっています。その他のGeoCitiesやMSNがどう変身していくのか誰にも予想がつきません。
ネットスケープ社やマイクロソフトのブラウザ系は単にゲートウェイだけではいずれ先細りになるため、自らコンテンツを集めポータルの地位を築こうとし始めました。ネットスケープ社はNetcentor、マイクロソフト社はStart、のそれぞれベータ版をオープンしています。ブラウザのデフォルトに組み込みます。まだ、ブラウザ系のトラフィックは多く、今後どう転身していくのかわかりません。
NASDAQの株の時価で明らかなように、旧メディアの地位はインターネット企業に侵食されています。そのため、大手のウォルト・ディズニー、タイムワーナー、CBSは買収などの手段でインターネット分野に一気に進出を図ろうとしています。1998年6月にディズニーはサーチサイトのinfoseekに資本参加しました。インターネットのような技術会社は人材が命ですので買収できなかっただけの話であり、今秋までにはinfoseek主導の新しいポータルサイトがオープンする予定です。その他、ネット会社のAT&Tなどもインターネットコンテンツへの参入を狙っており、大型の買収・提携の可能性は十分考えられます。
最近、ポータルサイトとしてzap.comが話題になっています。今までインターネットに関係のない会社でしたが、「あなたのウェブサイトを買い取ります」と広告をだして、コンテンツの集合体をつくり、ポータルサイトを立ち上げています。この場合、はやくブランドを確立し、多くの人にブックマークしてもらうことが必要ですが、合体がどこまで成功するか注目を集めています。